ショパンピアノ協奏曲第１番

ショパンピアノ協奏曲第１番　ホ短調　作品１１

Piano Concerto No.1

フレデリク・フランチシェク・ショパン
（1810 ～ 1849）ポーランド

Fryderyk Franciszek Chopin

ショパン　ピアノ協奏曲第一番　ホ短調　作品１１　一楽章より

ショパンはピアノ協奏曲を二曲書いている。出版の順序で番号がつけられたため、この曲が第一番と呼び習わされているが、実際には第二番ヘ短調が一年ほ以ど早く完成している。作品の九割以上がピアノ独奏曲であるショパンの仕事の中で、ピアノ以外の楽器を含んでいるという点で特異な位置にある作品である。郷里ワルシャワを離れてからはピアノ独奏曲だけを精力的に書き続けたショパンであるが、それは病的とも思われるほどの内向的な性格のためであろう。しかし、ワルシャワ時代にはこのような性格もはっきりとは現れず、協奏曲や室内楽曲などの作品を書いたのである。この曲はショパンが20歳の時の作品で、青年期特有の情熱と純粋さを持っているが、のちの作品に見られるような深い精神性や技法的円熟といった点では万全の作とは言えないようだ。特に管弦楽法の未熟さは否定できず、のちに何人かの手によって管弦楽譜の手直しが行われている。曲は独奏ピアノのために書かれたといってもよく、管弦楽は伴奏の域を出ない。また様式としては当時最大のピアニスト兼作曲家であったフンメルの影響を強く受けている。

名曲鑑賞辞典　中河原理編　
東京堂出版より

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